テーパリングとは何か
テーパリング(Tapering)は、「先細り、次第に減る」を意味する「テーパー(taper)
」から派生した言葉で、中央銀行の量的金融緩和の縮小を意味します。中央銀行が国債などの資産を購入し、お金を市場に供給することで景気を刺激し、効果が出れば今度は景気を過熱させすぎないように、国債の購入を減らすことで市場に出回るお金の量を減らしていきます。この国債などの購入額を減らすこと、すなわち量的金融緩和の縮小のことを市場ではテーパリングと呼びます。
米国ではFRB(米連邦準備理事会)が新型コロナウィルスの影響に対して、大規模な金融緩和を行っています。政策金利を引き下げて景気や物価の下支えをしつつ、国債などの資産を購入して市場にお金を供給し景気の底割れを食い止める目的です。現在も米国の政策金利は事実上ゼロ金利であり、中央銀行の米国債保有残高は5兆ドル(約544兆円)を超え、発行済み総額の4分の1近くまで占めています。
政策の効果とコロナワクチンの普及も相まって、米国は徐々に景気が回復しており、次第に市場ではテーパリングについての議論が開始されるのではないかという見方が出始めました。
テーパリングが注目される理由
テーパリングを行うのは景気が回復しているからこそです。通常であれば企業の業績も回復し株価も上がっていきます。しかし、米国では過去のテーパリング時に、株価は急落しました。
2013年5月に当時のバーナンキFRB (米連邦準備理事会)議長が市場関係者が想定していたよりも早いタイミングでテーパリングを示唆し、長期金利が急騰、株価は下落、新興国通貨の下落が起き、世界の金融市場が混乱しました。金融緩和から金融緩和縮小時の局面において、投資家の不安心理が先行したために起こったとされています。
リーマンショック以降、当時のバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長によって量的金融緩和政策が行われました。量的金融緩和によって市場に流通するお金が増え、そのお金が株式などのリスク資産に向かいました。この世界の株高などは、量的金融緩和がまだ続くことを前提として動いていました。そんな中、予想外のタイミングでのテーパリング示唆に、金融市場がテーパータントラム(テーパリング懸念に対して癇癪)を起こしたのです。この混乱は「バーナンキ•ショック」と呼ばれています。
テーパリング示唆を発端とした市場混乱の経験があるので、今回のテーパリング議論開始の可能性について、過去のような市場混乱が起こるのではないか、という懸念が市場関係者の間にあります。
<図表3:「バーナンキ・ショック」と米国株価の推移> 出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2013年初~2014年末)
米国グロース株の調整は一巡?市場は「バーナンキ・ショック」の再来を警戒 2021/3/19 香川 睦
米国の景気動向とテーパリングについて
2020年3月下旬から続いていた上昇相場ですが、5月に入り相場が不安定になっています。値上がり期待だけで買われていた仮想通貨などの資産が真っ先に売られ、ビットコインは4月の高値から半値になりました。焦点はFRB(米連邦準備理事会)によるテーパリングがいつになるかというところです。5月19日に公表された4月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では「経済の急回復が続けば、今後の会合のどこかで資産購入ペースを調整する議論を始めるのが適切だと多くの委員が指摘した」とあります。なんとも回りくどい表現ですが、FRB(米連邦準備理事会)は過去のテーパータントラムを再燃させまいと、市場との対話を重視し、配慮をしているということです。
FRB(米連邦準備理事会)の使命は「物価の安定」と「雇用の最大化」です。「物価の安定」について、現在の米国では、インフレが懸念されています。5月12日に発表されたCPI(消費者物価指数)は前年同期比+4.2%と、12年7ヶ月ぶりの(2008年、9月以降)大幅な伸びとなりました。その背景には、コロナワクチン普及や給付金などによって消費などの需要が急激に増大し、供給が追いつかずにサプライチェーン(供給連鎖)が混乱して商品価格の高騰が起きています。しかし、FRB(米連邦準備理事会)は、このインフレは一時的なものであるとしています。そのため、今回懸念されているインフレは、先程の「経済の急回復が続けば」という点には当てはまらないとの見方です。
雇用市場においては、商品需要に供給が追いつかない状況の中で求人数は増加しています。しかし、最低賃金よりも高い上乗せされた失業給付金の影響もあり、失業者が積極的に職を求めていない現状があります。4月に発表された「3月の雇用統計」の雇用者数は力強い伸びでしたが、5月に発表された「4月の雇用統計」雇用者数は予想を大きく下回るものでした。引き続き、6月以降の雇用統計、そして9月6日に終わる失業給付の特別手当ての影響なども注目されます。
今回の景気回復と過去のバーナンキショック時との違いは、FRBが市場との対話を重視していること、インフレは一過性のものとしていること、そして雇用回復は不透明ということです。
テーパリング実施にはまだ時間がかかるという見方が市場関係者では大半ですが、シナリオが決まれば相場はすぐに価格に織り込むことも事実です。そのため、今後のFOMCに注目が集まります。
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