ミーム銘柄誕生の背景~ 日本では起こりえるか? ~

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2020年3月のコロナショック以降、米国ではロビンフッダーと呼ばれる若い投資家が生まれました。ロビンフッダーを一躍有名にしたのは、ゲームストップ株をめぐる機関投資家との攻防戦(いわゆる「ゲームストップ株事件」)ですが、ゲームストップ株以外の銘柄でもロビンフッダー達が好む銘柄があります。映画館を運営するAMCエンターテインメント株やレンタカーのハーツなどです。このような銘柄は「ミーム銘柄」と呼ばれます。

ミーム銘柄とは、インフルエンサー的な個人投資家が、特定の銘柄についてSNSに投稿、その投稿内容に賛同したほかの人が一斉に買い注文を出すことによって生まれます。

SNSにはFacebook、Twitterなどいろいろありますが、ミーム銘柄と関わりが深いSNSとは何なのでしょうか?

ミーム誕生は2つのサブレディットから

結論から言うと、ミーム銘柄発生と深くかかわっているSNSは掲示板サイト「レディット(Reddit)」です。レディットの中には特定のテーマで投稿するコミュニティ「サブレディット」が10万個以上存在します。
金融コンサルティング事業を営むBagel X代表取締役 大崎 匠氏は、ミーム銘柄誕生について以下のように断言します。

サブレディットの中でミーム株について盛んに議論されているのが「r/wallstreetbets」と「r/Superstonk」だ。2つの異なるサブレディットに共通するトピックスはリスク性の高い株式投資。コミュニティーに参加する投資家が日夜、投資アイデアや自らの運用成績を共有し合っている。これら2つのサブレディットこそがミーム株誕生の場なのだ。

※参考:「コロナ禍が生んだ異端児「ミーム株」が狂乱相場を呼び込む」
大崎 匠 日経ビジネス 2021年6月19日
https://business.nikkei.com/atcl/plus/00006/060900001/

あのロビンフッド事件の発端もこの「r/wallstreetbets」でした。

誤解を恐れず敢えてありきたりな言い方をすれば、サブレディットで「バズった」投稿に「イナゴ投資家」が群がることでミーム銘柄は生まれるのです。

ミーム銘柄へと突き動かす原動力とは

ミーム銘柄は、将来性が有望だとか、業績が良いとかそういった理由で注目される訳ではありません。それは、会社更生手続きを申請したハーツや、債務超過状態のAMCエンターテインメントがミーム銘柄であることからも明らかです。

ターゲットとなる銘柄に共通するのは、機関投資家と呼ばれる投資のプロが空売りを多く仕掛けている点です。ロビンフッダーたちはそうした銘柄を結託して買い注文を出し、株価を押し上げ、空売りをしている機関投資家に多額の損失を出させます。押上げた株価で買戻しをさせることでさらに値を上げ自分たちの利益を得るショートスクイーズという投資手法をロビンフッダー達は得意としています。高給取りと考えられる機関投資家と対決し、利益をむしりとっていくところにロビンフッダー達の投資への原動力があるとも考えられます。

投資ビギナーであっても、このような思いを胸にオプション取引などで(少ない元手でも)大きな金額の取引を行い、機関投資家に大きなダメージを与えることと、自身の大きな利益を狙っています。

日本では起こりえるか

ミーム銘柄誕生の要件は、SNSでの「バズり」と「イナゴ投資家」です。日本にもこの要件は揃っています。

それでは、このミーム銘柄のような株は日本でも起こりうるのでしょうか。筆者は以下2つの理由から「日本ではミーム銘柄は発生しない」と推察しています。

主な理由:騒動の中心になっている若者個人投資家は日米で投資への姿勢が大きく異なるから

コロナを機に投資をする人が増えたとはいえ、日本の若者世代で投資をしている人はまだまだ少数派です。大和ネクスト銀行の調査によれば20代、30代の男性は約4割程度が、同世代の女性は6~7割りの人が未だ投資を行っていない(=預貯金以外の金融資産がない)と回答しています。

[図表] 預貯金以外の金融資産がない人の割合 / 預貯金以外の金融資産が500万円以上の人の割合

※参考:「貯蓄と投資に関する調査2020」
大和ネクスト銀行 2020年9月28日
https://www.bank-daiwa.co.jp/column/articles/2020/savings_and_investments_report_2020.html

SNSが生活に溶け込んでいるデジタルネイティブ世代の投資家は(特に女性は)わずかなのです。
さらに、現在投資をしている人であっても、その投資姿勢は、米国株のインデックス投信などに長期投資前提でじっくり積み立てるといったものです。

ネット証券が開示している個人投資家の投資動向にも、堅実な投資傾向が表れている。楽天証券で個人投資家がつみたてNISA(少額投資非課税制度)を使って購入した商品の売買ランキングを見ると、上位には米国や全世界の株式に投資するインデックス投信が並んだ(下表)。楽天証券の長谷川卓弥アセットビジネス事業部長は、「20~30代の若年層や女性を中心に、コツコツ資産形成をしていこうとする傾向が見える」と指摘する。SBI証券の売買ランキングを見ても、米S&P500種株価指数や米ナスダック総合株価指数など米株価指数に連動する上場投資信託(ETF)が上位に入った。

参考:若者の投資デビュー、老後不安とYouTubeが後押し?
川路洋助 日本経済新聞 2021年2月2日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMC2750N0X20C21A1000000/

一方、ミーム株を好む米国の投資家は、

「YOLO (=You Only Live Once/人生一度きり)」
「To The Moon(月を目指せ)」

の2つをスローガンにしていると、Bagel X代表取締役 大崎匠氏は言います。

「長期投資前提」ではなく「月を目指す」ロケットのようなスピードで投資成果を手に使用としている点、「積み立て」ではなく、「一度きりの人生」と生き急ぐようにレバレッジを効かせて大勝負を賭ける点など、投資マインドが全く異なります。

付随的な理由: 日本には値幅制限があるから

投機的な値動きを防ぐことを目的に日本株の現物取引では「値幅制限」があります。値幅制限があることで、日本株は前日の終値(最終気配値段)から一定範囲値段の間でしか株価は動きません。

この値幅制限は米国株式にはありません。したがって日本株は米国株に比べて、一日の中での変動幅が小さくとどまります。結果として大きく値上がりするまでの時間も米国株と比較して、長い期間が必要になるのです。

≪ memo ≫
値動きが大きくなりすぎることを抑制することを目的に「サーキットブレーカー」という制度があります。値幅制限が現物株が対象であるのに対し、サーキットブレーカーは日米両国で採用されており、先物やオプション取引が対象です。相場が大きく動いた時に、取引を一時停止させる制度がサーキットブレーカーです。一時停止(10分程度)させることで、加熱した投資家の心理を冷やすことを目指しています。

SNSに強い若い世代の過半が投資をしていないこと、投資をしている若者も投資姿勢が慎重であること、加えて値幅制限があること。これらの要因から当面ミーム銘柄は日本には発生しないと推察します。

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