HFT(High Frequency Trades=高頻度取引)とは(1)

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HFTとは(1)
米国の株式市場で個人投資家が影響力を増す中、彼らが利用する「ロビンフッド」の裏側の存在である「HFT」の存在がにわかに注目されています。
そこで、今回の記事では「HFT」とはどのような存在なのか、日本や米国におけるHFTの状況についてお話しします。

HFTとは

「HFT」とは、High Frequency Tradingの略称で日本語では「高頻度取引」と呼ばれています。
高頻度取引とはアルゴリズム取引のうち、高頻度かつ高速に取引を行うことを指します。
アルゴリズム取引についてはコンピューターが自動的に取引を行うということをイメージしてください。
そのアルゴリズム取引の中で、1秒にも満たないミリ秒単位の世界で売買を繰り返すという取引手法こそがHFTということになります。

日本経済新聞 高速取引(HFT)とは データ基に1秒で数千回の売買注文 きょうのことば 2019年10月20日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO51200740Q9A021C1EA2000/

HFTの利益の上げ方

まずはHFTがどのようにして利益を上げているのかについて解説していきます。
彼らが利益を稼ぐ方法は主に二つあり、一つが「マーケットメイク戦略」、二つ目が「裁定取引」です。

マーケット戦略

まずは、「マーケットメイク戦略」について説明をしていきます。

「マーケットメイク」とはその名の通り、市場を形成するという意味になります。
例えば、Aという株に100円の売り注文、99円の買い注文をHFTが出したとしましょう。
それぞれの取引が成立した場合、99円で買って100円で売れたということになるため、その差である1円がHFTの収益になるということです。

スパークス・アセット・マネジメント株式会社 SPARX Asset Management Co., Ltd.
SPECIAL REPORT スペシャルレポート 2019 / 04 / 03
高頻度取引(3回シリーズ第1回):高頻度取引とは何か? 水田 孝信

裁定取引

続いて、「裁定取引」についてです。

そもそも裁定取引というのは、同じ価値があることや交換ができることが保障されているもの同士に価格差があるときに、安いほうの価格で買って高いほうの価格で売ることにより、その価格差分だけ利益が出る取引のことを指します。

例えば米国の場合、複数の取引所が国内に存在するので、例えばシカゴ取引所に上場している先物とニューヨーク取引所に上場している現物株の一瞬の価格差をとらえて利益をかすめ取るといったことが可能となります。

スパークス・アセット・マネジメント株式会社 SPARX Asset Management Co., Ltd.
SPECIAL REPORT スペシャルレポート 2019 / 04 / 03
高頻度取引(3回シリーズ第1回):高頻度取引とは何か? 水田 孝信

また、最近では冒頭部分でも述べたように米国の個人投資家の間で人気を誇る「ロビンフッド」の裏側の存在として利益を稼ぎだしています。
ロビンフッドは取引手数料が無料で株の売買ができるアプリであることは周知の事実だと思います。
ただ、手数料が無料だとロビンフッドを運営している会社には一銭も入ってこないことになるので、ビジネスとして成立しなくなってしまいます。
そこで活用されているのがHFTで、ロビンフッドは個人投資家の取引をHFTに送ることでHFTからお金を受け取っています。
HFTは受け取った個人投資家の取引を活用して「利ざや」を稼ぐことが可能になるというわけです。
つまり、ロビンフッドにとってHFTは無くてはならない存在であるし、HFTにとってもロビンフッドは利益の源泉でありWin-Winの関係にあるということになります。

日本経済新聞 注文停止、高速取引業者へ配慮の疑念 18日に米下院で公聴会 2021年2月3日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68766130S1A200C2EE9000/

米国におけるHFTの状況

次に、HFTが米国においてどのような状況に置かれているのかについて説明していきます。

米国においてHFTは「マーケットメイク」という観点から非常に重要な役割を果たしています。
先ほど説明した通り、HFTはマーケットメイク戦略を通じて市場に大量の注文を出しています。
こういった取引が市場に流動性を供給しているということに繋がっています。

このように、市場に高頻度で、注文を発注していることが、ほかの投資家の投資機会を提供しているため、HFTは今やマーケットにおいてなくてはならない存在であると言えます。

以上のように、マーケットメイカーとして重要な役割を果たしているHFTですが、直近では米議会から注視されている状況にあります。

それは先ほど述べたロビンフッドとのつながりが原因です。
ロビンフッドと蜜月関係にあるということは先ほど記述したとおりですが、ロビンフッド上で取引をする際にHFTへの見返りが大きすぎて取引をする顧客の利益を損なっているのではないかということが問題視されています。
この問題は現在にもおいても解決はされていませんが、今後HFTに対する監視の目が強まっていくことは避けられないと考えられます。

日本におけるHFTの状況

次は日本におけるHFTの状況について説明していきます。

HFT日本においても米国と同様、マーケットメイカーとしての役割を果たしています。
一説には、日本の取引の半分以上がHFTによるものだともされています。

それだけ市場に流動性を供給している点については、HFTが有用であるということを認めざるを得ない状況にあると思います。
また、日本では金融庁へのHFTを登録制としており現在は60社余りが日本の株式市場に流動性を供給しています。
日本においても米国と同様、HFTがなくてはならない存在にあるということです。

ちなみに、日本において60社余りが登録されているHFTですが、その中に1社だけ日本の会社が存在します。
それが「ダルマ・キャピタル」というHFTで、以前に「ガイアの夜明け」で特集されたことで広く名が知れ渡りました。

日本語の会社HPがあるので興味がある方はぜひのぞいてみてください。

ダルマ・キャピタル株式会

まとめ

ここまで、HFTとはどういった存在なのかということや、HFTの利益の上げ方、米国や日本におけるHFTの状況について解説してきました。
次回の記事では、HFTのメリットやデメリット、個人投資家に及ぼす影響について解説していきます。

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