ヘッジファンドの戦略とは?3種類の戦略について

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ヘッジファンドは市場の上昇・下落場面の両方で利益を追求するファンドです。どのような局面でも利益獲得を目指すことから、ヘッジファンドの戦略は「絶対収益」といわれています。

ヘッジファンドには、利益を出すためにさまざまな戦略を用います。ヘッジファンドの戦略にはそれぞれ特徴があり、比較的ローリスクのものから、ハイリスク・ハイリターンのものまであるのです。

そこで今回は、ヘッジファンドの戦略を次の3つに分類して解説します。

1. レラティブ・バリュー型
2. ディレクショナル型
3. イベント・ドリブン型

レラティブ・バリュー型

価格差や金利差によって収益を狙う戦略を、「レラティブ・バリュー型」といいます。

図1

レラティブ・バリュー型には、次のような戦略があります。

<レラティブ・バリュー型の戦略>
株式マーケットニュートラル
債券アービトラージ
転換社債アービトラージ

株式マーケットニュートラル

株式マーケットニュートラルとは、株式のロング(買い)・ポジションを軸として、先物やオプションをショート(売り)のポジションに置く、市場中立型の戦略です。具体的には、割安な銘柄を買い建てて、割高な株を先物やオプションで売り建てます。

株式市場が値上がりすれば、個別銘柄も値上がりする可能性が高くなります。このとき、売り建てた銘柄よりも買い建てた個別銘柄のほうが値上がりすれば、利益が出るのです。

一方で株式市場が値下がりすれば、個別銘柄も値下がりする可能性が高くなります。このとき買い建てた個別銘柄は損失を出してしまいますが、売り建てた先物やオプションを安く買い戻せます。つまり、売り建てた先物やオプションが、買い建てた個別銘柄よりも値下がりすれば利益が出るのです。

このように株式マーケットニュートラルには、株式市場の変動リスクを抑えながら、個別銘柄の収益に集中できるメリットがあります。

債券アービトラージ

債券アービトラージとは、市場の歪みを利用して割安な債券をロング(買い)に、割安な債券をショート(売り)にポジションを置く戦略です。

具体的には、割高な債券は適正価格への値下がりを期待して空売りします。一方で割安な債券は、適正価格への値上がりを期待して買いを入れるのです。

適正価格は、市場の需要と供給によって決まります。しかし、なんらかの原因によって債券価格が適正価格よりも割高、あるいは割安なケースが起こります。そこでヘッジファンドは、いずれ債券が適正価格へ収れんすることを見越して、空売りもしくは買いを入れるのです。

ただし債券アービトラージは、市場の歪みがさらに拡大する「金融危機」に弱い弱点があります。たとえば、金融危機によって安全資産である債券が“割高のまま”買いが進めば、価格差は逆に広がり、損失が増えることになります。

転換社債アービトラージ

転換社債アービトラージとは、割安な転換社債をロング(買い)に、同じ発行会社の株式をショート(売り)にポジションを置く戦略です。

転換社債とは、発行時に決められた価格で株式に交換できる社債です。決められた期間内に株式を交換するか、あるいは社債のまま保有して利子や元本を得られます。

転換社債アービトラージでは、割安な転換社債を買うのと同時に、同一企業が発行する株式を空売りしてリスクヘッジしています。転換社債は決められた価格で株式に交換できるので、株価が値上がりすれば株式へ交換し、売却することで利益を出せるのです。

一方で株価が値下がりしても、株式を空売りしているので、安く買い戻して利益を出すことも可能です。そもそも転換社債は株式に交換しなくてもよいので、株価が下がれば債券のまま保有すれば問題ありません。

ちなみに現在では、転換社債は改名され、「転換社債型新株予約権付社債」と呼ばれています。

ディレクショナル型

市場動向の方向を予測して収益を狙う戦略を、「ディレクショナル型」といいます。ディレクショナル型には、次のような戦略があります。

図2

<ディレクショナル型の戦略>
株式ロングショート
グローバルマクロ
マネージドフューチャーズ

株式ロングショート

株式ロングショートとは、割安と評価する株式のロング(買い)と、割高な株式のショート(売り)を組み合わせた戦略です。株式ロングショートは、ヘッジファンドの代表的な戦略の1つです。

株式ロングショートでは、どのような市場の局面でも利益獲得を追求します。株価の上昇場面では、割安株の値上がりによって利益を出します。一方で株価の下落場面においても、割高株を空売りすることで利益を出せるのです。

ただし、割安株が値下がりし、割高株が値上がりすれば一気に損失が広がってしまいます。そのため、割高株と割安株を正しく判断するための、ヘッジファンドの高度な運用能力が求められます。

グローバルマクロ

グローバルマクロとは、グローバル市場の見通しに基づき、株式・債券・為替・通貨などの世界各国の市場トレンドから収益を目指す戦略です。

グローバルマクロは、主に大規模なヘッジファンドが得意とする戦略です。世界各国のマクロ経済を注視しながら金融商品に投資するので、ヘッジファンド担当者の運用能力によって成果が大きく左右されます。

グローバルマクロといえば、ジュリア・ロバートソン氏の「タイガー・ファンド」や、ジョージ・ソロス氏の「クオンタム・ファンド」などが有名です。これらのグローバルマクロの戦略が、現在のヘッジファンドに影響を与えたといわれています。

マネージドフューチャーズ

マネージドフューチャーズとは、世界各国の先物やオプションに投資し、利益獲得を目指す戦略です。株式先物や債券先物、商品先物などに投資し、市場の上昇や下落場面でも利益を追求します。

マネージドフューチャーズの特徴は、株式や債券、通貨などの金融商品を単一のファンドに組み込む点です。こうして相場が一方向に傾いたときに利益が拡大することから、マネージドフューチャーズは「トレンドフォロー型」の手法といわれています。

イベント・ドリブン型

株価に影響する重大なイベント(出来事)を利用して、収益を狙う戦略を「イベント・ドリブン型」といいます。イベント・ドリブン型には、次のような戦略があります。

図3

<イベント・ドリブン型の戦略>
ディストレスト
スペシャルシチュエーションズ
 M&Aアービトラージ

ディストレスト

ディストレストとは、経営不振や経営破綻で一時的に価格が下落した株式や債券を買い、のちに価格が戻った時点で売って利益を得る戦略です。

ディストレストで利益を得るには、企業が財務面の危機を乗り越えることで、株式や債券の価格を戻してもらう必要があります。そのためヘッジファンドは、企業経営の再建が期待できる企業に投資します。

一方で、企業の再建が叶わなければ、割安で買った株式や債券もさらに価格が下落することになるのです。そのためディストレストは、ハイリスク・ハイリターンの戦略なのです。

スペシャルシチュエーションズ

スペシャルシチュエーションズとは、誰しもが手を出さないような倒産間際の問題銘柄の値上がりを狙う戦略です。

具体的には、企業再編後で再建中の企業や、多額の損害賠償で倒産寸前の企業にヘッジファンドが目をつけます。これらの企業の株式を割安な価格で手に入れ、その後再建して値上がりしたところで売り、多額の利益を得ます。

このようにスペシャルシチュエーションズは、ハイリスク・ハイリターン戦略なのです。そのためスペシャルシチュエーションズで利益を得るには、ヘッジファンド運用担当者の実力が大きく影響します。

M&Aアービトラージ

M&Aアービトラージとは、M&Aが行われるタイミングを狙って裁定取引(アービトラージ)をすることで利益を得る戦略です。

一般的にM&Aでは、買収側が買収される側の株式を買い取るために、一般公開買い付け(TOB)で取引します。このTOBが市場にとって大きなイベントとなるのです。買収によって確実に株式を買い取るために、買収側は株価に市場よりも高いプレミア価格を設定します。

この一時的な株価の上昇はやがて適正価格に収れんしますが、この価格差を狙って利益を得るのがM&Aアービトラージです。TOBの終了による株価の下落を狙って、割高な株式を空売りすることで利益を出すのです。

ヘッジファンドは戦略を使いわける

ヘッジファンドの戦略を3つに分類して解説しました。ヘッジファンドは多岐にわたる戦略を駆使して、どのような市場局面でも利益獲得を目指します。

ヘッジファンドに投資する場合は、どのような戦略を用いるのか把握しておくべきです。戦略の中にも、比較的リスクを回避しているファンドや、ハイリスク・ハイリターンのものまであります。それぞれの戦略の一長一短を理解したうえで、ファンドに投資しましょう。

また、ヘッジファンドの特徴やその不透明さについて知りたい方は、ぜひ下記の記事も参考にしてください。

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