ヘッジファンドとは?その特徴、その不透明さ

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ヘッジファンドとは?

ヘッジファンドとは、市場が上がっても下がっても利益を追求するファンドのことです。

ヘッジファンドは、下落傾向にある市場で株式を借りて高く売り、決済期日までに買い戻す「空売り」を得意としています。空売りの場合、市場が下落しているときにその値下がり分が利益になります。たとえば、1株100円のときに株式を借りて買い、80円のときに買い戻せば20円の利益が出るのです。

市場が下がっても利益を追求しますので、ヘッジファンドの手法は「絶対収益」とも呼ばれます。ただしこれは、「必ず利益を取る」という意味ではありません。「どのような市場においても積極的に利益を取りに行く」という、ヘッジファンドの姿勢を指しているのです。

ヘッジファンドの歴史

ヘッジファンドの歴史は、1949年のアメリカまでさかのぼります。

当時、元ビジネス雑誌編集者のアルフレッド・ウィンスロー・ジョーンズ氏が考案した「株式ロング・ショート」が、ヘッジファンドの起源と言われています。「株式ロング・ショート」とは通常のロング(買い)と、割高な銘柄を売却するショート(売り)を組み合わせる手法です。

空売りが主流ではなかった時代に、ジョーンズ氏はロング・ショートの両方のポジションを取ることで、どのような相場でも利益を追求しました。特に株式ロング・ショートは、「相場が大きく下落したとき」に効果を発揮したのです。

過去の有名なヘッジファンド崩壊事件「LTCM破綻」

1980年代から急成長を続けたヘッジファンドですが、とある事件で市場に大きな影響を及ぼします。それが「LTCM破綻」です。

LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント 英語:Long-Term Capital Management)とは、1994年~1999年まで存在したヘッジファンドです。LTCMにはノーベル経済学賞を受賞したロバート・マートン氏も参加しており、市場も注目したヘッジファンドでした。

主な運用手法は、割安な債券を購入し、割高な債券を大量に売却する「レラティブ・バリュー」です。流動性が高いわりに適正な価格で取引されていない債券に注目し、高度な金融工学を用いることで大きな利益を上げました。

しかし、1998年のロシア財政危機により状況は一変します。この危機によりアジアを中心とした新興市場から資金が流出し、欧米などの安全な先進国の市場へ資金が流れます。理論上は新興市場へ資金は戻るはずでしたが、投資家に「新興市場の債券は危ない」という心理が働き続け、結果価格は戻りませんでした。

価格の収れんを投資戦略としていたLTCMは、理論と反対の動きをした市場に裏切られ、結果破綻してしまったのです。このように、理論だけでは解き明かせない「人間の心理」が引き起こした事件ともえます。

リーマン・ショック以降のヘッジファンドの変化

2008年のリーマン・ショック以降、ヘッジファンドは苦しい状況に立たされています。理由は、2010年にオバマ大統領が制定した「ドット・フランク法」によって、ヘッジファンドに規制がかけられたからです。

ドット・フランク法の中でも「ポルカールール」によって、ヘッジファンドへの出資に制限がかけられました。そのためヘッジファンドは勢いを失います。実際に、ヘッジファンドの一定期間の値上がりや値下がりを示す「平均騰落率」は、リーマン・ショック以降下落し続けています。

<リーマン・ショック以降の平均騰落率(5年単位)>

年(5年単位)

平均騰落率

2000年~2004年

13.6%

2005年~2009年
※2008年にリーマン・ショック発生

10.1%

2010年~2014年

6.3%

2015年~2019年

4.1%

- 出典 日興リサーチセンター株式会社 日興リサーチレビュー ヘッジファンドの手数料と流動性の変化 2020年6月 より作成

- 日興リサーチセンター株式会社 日興リサーチレビュー ヘッジファンドの手数料と流動性の変化 2020年6月

ヘッジファンドの投資手法

実はヘッジファンドには、明確な定義がなく投資手法も多岐にわたります。その中でも主な手法について紹介します。

<ヘッジファンドの主な運用手法>

運用手法

内容

株式ロング・ショート

通常の値上がりを期待できる株式のロング(買い)と、割高な株式のショート(売り)を組み合わせた手法。ヘッジファンドの代表的な手法。

マーケット・ニュートラル

割安な銘柄のロング(買い)と、割高な銘柄のショート(売り)の両方のポジションを取る手法。中立の立場でリスクを軽減しながら、収益拡大を目指す。

グローバル・マクロ

世界のマクロ経済に注視しながら、各国の株式や債券などにロング・ショートのポジションを取る手法。大手のヘッジファンドがよく採る手法。

ヘッジファンドの手数料

ヘッジファンドが顧客から受け取る手数料は、かつて「2:20」がモデルとされていました。これは、運用資産の2%を受け取る「運用報酬」と、値上がり益の20%を受け取る「成果報酬」の手数料率によるものです。

しかし現在、手数料率は低下傾向にあります。理由は、ヘッジファンドのパフォーマンス能力が低下している中、手数料を下げてでも資金を得ようとしているからです。

実際に日興リサーチによると、2019年の手数料は平均運用報酬で1.1%台、平均成果報酬は14%台でした。「2:20」モデルに当てはめますと、「1.1:14」まで下落しているのです。

ヘッジファンドの運用マネージャー

ヘッジファンドの運用マネージャーとは、顧客運用資産を運営・管理する役割のことです。運用・管理のほかにも、金融市場を調査してレポートにまとめたり、顧客向けに運用報告の資料を作成したりするなど、高度な知識や経験を必要とします。

報酬体系は「基本給」+「インセンティブ」が多く、国内でも年収1,000万円を超えるほどの高度な職種です。その分、ヘッジファンドに見合うほどの収益を期待されますので、重圧のかかる仕事ともいえます。

ヘッジファンドの不透明さ

ヘッジファンドはその規模にかかわらず、不透明さが問題になっています。なぜなら、ヘッジファンドは運用手法が多岐にわたるため、顧客にはとってわかりにくい側面があるからです。そのため、よいヘッジファンドを選ぶことは投資家にとって困難とも言われています。

ヘッジファンドには抜け穴がある

ヘッジファンドはSEC(米国証券取引委員会 英語: U.S. Securities and Exchange Commission、略称: SEC)などから規制対象外になりやすく、それゆえに抜け穴が発生することも多々あります。その最たる例が「ファミリー・オフィス」です。

「ファミリー・オフィス」とは、個人資産家の資産を管理する運用会社のことです。一般的な顧客向けの資産運用ではないため、SECなどの規制から外れています。そのため、通常の証券会社ほど保有資産や取引内容などの情報開示義務が緩いのです。

そのようなファミリー・オフィスで大きな事件を引き起こしたのが、「アルケゴス・ショック」です。米国のファミリー・オフィス「アルケゴス・キャピタル」は、規制対象外なことに漬け込み金融機関から借り入れた資金をもとにレバレッジをかけながら投資していました。要するに、少ない資金で大きな利益を追求していたのです。

しかし株価が下落したときに、規制が緩かったアルケゴス・キャピタルは担保を保証できず、次々と保有株式を手放します。この巨大損失の影響は米国だけにとどまらず、取引のあったクレディ・スイスや日本の野村ホールディングスなどの金融機関にまで及んでいます。

今後も規制は強化されるのか?

日本でもアルケゴス・ショックで、野村ホールディングスが3,077億円(2021年4月27日時点)の関連損失を見込んでおり、金融庁と日本銀行で実態把握に動いています。今後は、ヘッジファンドによる過度なリスクテイクに規制がかかっていくでしょう。

ただし、どのような値動きの中でも大きな収益を目指すヘッジファンドは、投資家にとって魅力あることには変わりありません。そのため、今後のヘッジファンドに対する規制内容には注目しておきたいですね。

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