日米対中国対立のなかの日本企業の今後の対応について

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日米対中国対立のなかの日本企業の今後の対応について

日米対中国対立のなかの日本企業の今後の対応に関しての考察

今年4月の日米首脳会談で、日本は米国とともに中国に対峙する姿勢を明確にしました。
これによって日本企業の中国事業は、「悪化の懸念」から「間違いなく悪化する」ことになります。

今後中国は、WTO違反にならないよう狡猾で巧妙な形で日本企業の中国事業を締め付けてくるでしょう。
中国に進出している日本企業は、覚悟を決めて対処する必要があります。
幻想を抱かず、経営悪化は不可避と覚悟して、迅速に手を打つことが大切です。

私は日系企業の中国責任者として10年間中国に駐在しました。
10年間の経験をもとに、日本企業の今後の対応策を考察します。

事態進展に応じた対処策を決めておくこと

様々なケースに応じた行動計画を考えておく

迅速に手を打つためには、今後なにが起こるか様々なケースを想定し行動計画を考えておくことが大切です。
経営判断の基準は企業によって異なりますが、受注、売上、利益、フリーキャッシュフローなどの経営数値がどこまで悪化したらどのような手を打つのか決めておくのです。

状況に応じて、事業縮小、従業員削減、事業形態変更、会社清算・撤退などが考えられます。
事業縮小は、取り扱い製品の絞り込み、顧客ターゲットの絞り込み、工場や販売店舗の縮小などがあります。
事業縮小となると、従業員をどうするかの問題が出てきます。
また中国企業との合弁化を図ったり、直営店をフランチャイズ化したり、製造・販売・アフターサービスの一部を中国企業に譲渡するなど事業形態の変更もありえます。
そして最終的には、会社売却や精算・撤退までを視野に入れておく必要があります。

リスクを洗い出しておく

つぎに大事なことは、各ケースに応じた行動計画のリスクを洗い出して評価しておくことです。
特に労働争議、生産設備、内部留保、知財権などの問題は重要でやっかいです。

人員整理をともなう場合、従業員の扱いはセンシティブでちょっとしたボタンの掛け違いが大きな労働争議を招きかねません。
会社の精算や撤退にあたり、生産設備や内部留保を日本に持ち帰ることは極めて困難です。
また知財権は、中国人従業員に自由に使われても有効な対抗手段がありませんし、合弁会社の場合は中国側への実施権譲渡を余儀なくされるケースが多いものです。

これらのリスクについて、現地の法律、制度、当局の政策方針、前例などをよく調べ、法律事務所などの意見も参考に、金額的なインパクトを把握しておかなければなりません。

常日ごろの準備が重要

行動計画の策定やリスクの洗い出しは、どれを取っても時間のかかることばかりです。
日本側親会社との調整、従業員代表への説明・協議、顧客や取引先企業への説明、地元当局への説明などは、どのようなストーリー構成でどういう手順で進めるのか、日本側本社と現地側の綿密な意思疎通のもとでしっかりした検討が必要です。

簡単な変更でも、3~6カ月かかります。
ましてや企業の精算・撤退となると、日系企業が無傷で中国から撤退できた事例はほとんど聞いたことがありません。
形式的に会社は中国に存続させたまま、実態として企業活動を休眠させているケースが多いようです。

平時でもこういった状況です。
日米と中国の政治的対立が先鋭化した状況下でアクションを起こそうとすると、困難はいっそう増すでしょう。
いざ事態が起こってから慌てることのないように、常日ごろからの準備が大事です。

中国側に味方を見つけ、単独で対処しないこと

中国側と利害が対立するような場合、単独1社の行動は簡単に潰されます。
味方を見つけ一体となっての行動が望まれます。

中国有力企業との関係づくり

できれば中国有力企業と提携(資本、技術、販売など)関係をつくり、彼らの力を借りて中国政府や地元政府に対処するのが一番です。

私は中国のある中堅都市で、日中合弁企業の董事(取締役)を務めたことがあります。
製鉄会社向けにプラント設備を納める会社でしたが、中国政府が製鉄能力の集約・削減に政策転換したこともあり、日中双方の合意のうえ会社を清算することになりました。
先述のとおり日系企業が中国から撤退することのハードルはきわめて高く、四囲の日本人関係者は「うまくいっても5年はかかる」とあきらめの境地でした。
ところが中国側合弁先から「われわれに任せてくれ」との申し出があり、日本側からの余計な手出しを控えたところ、3カ月もかからずにすべての会社精算手続きを終了することができました。

中国企業は関係当局とさまざまな人脈があります。
日米と中国の対立が激しくなると、当局による日系企業の締め付けが想定されます。
こうしたとき中国企業と友好的な関係をつくっておき、盾となってもらうと助かります。

情報入手ルートの構築

地元政府や共産党にパイプのあるOBなどを活用し、情報入手ルートをつくることも有益です。
彼らへの期待は、早期の情報入手です。

中国企業には会社組織と重なる形で共産党組織が存在します。
中央の政策が地方に示達されると、地方は政策をより具体化して実行に移すわけですが、各企業には地方政府と地方共産党のそれぞれのルートで政策の説明が行われます。

ところが共産党ルートは、日系企業は蚊帳の外です。
政府と共産党がなにを意図しているのか理解しきれないまま、いつまでもぼんやりしているということになりかねません。

日米と中国が対立する局面では、打ち手の遅れは致命的です。
政府、共産党、軍、国営企業のOBを活用するなどした情報入手ルートの確保が重要です。
なお彼らへの期待は情報入手にとどめ、それ以上に広げないほうが賢明なようです。

常日頃から脇を閉めて隙をつくらないこと

日本企業締め付けは、さまざまな形で襲ってきます。
不買運動、事実上の入札締め出し、通関引き延ばし、過去に遡っての追加課税、会計処理についての異なった認識、法律や制度の厳格適用などです。

当局(税務、通関、労働、安全衛生)から調査の手が入るケースの大半は、従業員や取引先からのタレコミがきっかけです。
従業員や取引先とは常日頃から円滑な意思疎通に努めて、不満が溜まらないように気配りすることが大切です。

また中国では電話盗聴やメール検閲は常態と考えてください。
電話盗聴は、軍本部や武装警察本部の周辺に立地する外国系企業に対し、特に厳重に行われているようです。
またメール検閲はまずメールの題名をチェックし、事前に登録された単語にヒットするとメール全文を検閲するという手法をとっているようです。

プロジェクトの入札がある場合など、入札予定価格のメールでのやり取りを禁止している企業はよくありますが、実はそれは大した問題ではありません。
真に気を付けなければならないのは、政治を話題にしたおしゃべりです。
日本の親しい人物とのやり取りで、つい中国批判が出てしまうことがあります。
こうした何気ない会話が、思わぬときに思わぬ災いとなってふりかかってくるのです。

中国はひと時も気を抜くことの許されない社会です。
文化大革命の時代、ひとつのうかつな発言がその人の生命を奪いましたが、それは明や清でおこった歴史物語ではありません。
わずか50年前の現実世界の出来事です。

おわりに

最後に、外国企業に対する中国政府の象徴的な発言を紹介します。

2021年3月ウイグル族への人権侵害を理由に米英加EUが中国に制裁を発動したところ、H&Mなど欧米のアパレルメーカーが中国消費者のボイコット運動に遭いました。
裏で糸を引いたのは中国政府といわれています。

記者会見でボイコット問題について問われた中国外交部の報道官は、「中国人民は外国企業が中国の食べ物を食べておいて中国の椀を叩き壊すことは認めない」と述べました。

英国フィナンシャル・タイム紙はこの発言を、「(中国の)言うことが聞けないなら出て行け」という意味だと解説しています。

「中国で『ストックホルム症候群』に陥る西側企業」 Wedge
Yahooニュース 2021.6.5配信
URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/b8e2bab8371a3d49d875e111f314338968644986

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