CFDとは?ハイリターンとハイリスクは隣り合わせ【前編】

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CFDとは差金決済取引(Contract for Difference)の略です。証拠金を預けて株価指数などへの投資を行い、売買額の差金のみを決済します。

CFDの特徴のひとつは「同じ資金で、現物取引よりも大きな取引ができる」ことです。

手持ち資金が少なくても取引額を大きくできるため「投資にまわせる資金が少ないのですが、大きな利益を目指したい」という人には魅力的にうつる取引でしょう。

しかし「リターンが大きくなる=リスクが大きくなる」ということです。実際、CFDでは手持ち資金以上の大きな損失が出る危険性もあります。

今回はCFDについてわかりやすく掘り下げます。

CFDとは?

CFD(差金決済取引)とは、「差額だけを決済する取引」です。日本で人気の「FX取引(外国為替証拠金取引)」も差額だけを決済するため、広義でのCFD取引に含まれます。

最初に、CFDと株式投資(現物取引)の違いや、CFDで投資できる対象について紹介します。

CFDは何に投資するのでしょうか

CFDでは世界各国の株価指数、原油、金などさまざまな資産に投資ができます。
CFD取引で損益を決めるもとになる資産を「参照原資産」といいます。

CFDの種類参照原資産
株式指数CFD日本225先物、NYダウ先物、ドイツDAX先物、香港ハンセン先物、株価指数連動型ETFなど
商品CFDWTI先物(原油)、天然ガス先物、コーン先物など
株式CFD米国株式など
バラエティCFDとはVIX先物、ハイレバレッジ型ETF、REIT型ETFなど

FXも差金決済を行うため広義ではCFD取引に含まれ、日本円と外国の通貨(USドルなど)を取引して利益を目指すものです。

CFDの決済の仕組み

通常の株式投資ですと、取引は「現金で株式(現物)を買い、保有し、売却して売却代金を受け取る」という流れになります。

たとえば株価5,000円の銘柄が100株欲しい場合には、資金として50万円が必要です。6,000円に値上がりしたときに60万円で売れば、10万円の利益になります。

一方CFDでは現物の売買は発生しません。

購入時にはあとから紹介する「証拠金」を証券会社にあずけたうえで、利益が出たら利益だけ(上記の例だと10万円)を受け取り、損が出たら損失分だけを払います。

これが通常の株取引とCFDの大きな違いです。

Stock-CFD 「CFDとは?株式CFDと現物株を比較して、取引の仕組みとメリットを解説。」 2021年3月14日

CFDの取引方法

CFD取引は、証拠金を預けたうえで行います。証拠金を差し入れることで「取引したい金額」を全額用意しなくても取引ができるのが、CFDの大きな特徴です。

通常の株式取引ですと、株価10,000円のA社株を100株買いたい場合には、100万円が必要です。

しかし株式CFD取引ですと、取引したい額の20%の証拠金(20万円)を差し入れることで、100万円分の取引が可能になります。これを「レバレッジをきかせる」といいます。株式の信用取引と同じ仕組みです。

なお取引額に占める証拠金の割合は、取引するCFD商品によって異なります。
商品ごとにレバレッジが違うのは、その商品ごとに、価格変動幅(ボラティリティ)が異なるためで、商品に比べて個別株の方が値動きが激しいため、レバレッジが5倍と低くおさえられています。

CFDの種類証拠金レバレッジ
株価指数CFD取引金額の10%10倍
商品CFD取引金額の5%20倍
株式CFD取引金額の20%5倍
バラエティCFD取引金額の20%5倍
クリック株365通常は取引金額の2~5%程度通常は20~50倍程度

証拠金を預けることで、少ない手持ち資金で大きな額の取引が可能になります。

CFDならではの「利益のあげ方」

CFDは「売り」から入ることができ、下落相場でも利益を狙えます。

通常の株式取引だと「まず株を買い、値上がりを待って売る」という方法で利益を出します。順序は常に「買う→売る」となりますね。

一方のCFD取引では「まず高いところで売って、安くなったら買い戻す」という「売る→買う」の順序での取引が可能。これも株式の信用取引と同じです。

クリック株365と店頭CFD

CFDには取引所で取引される「取引所CFD(くりっく株365)」と取引所以外で取引される「店頭CFD」があります。

どのように違うのか、説明します。

クリック株365と店頭CFDの主な違い

クリック株365とCFDの違いを表にして紹介します。

くりっく株365・公設マーケット(東京金融取引所)で取引
・取扱銘柄が少ない(日米独英の株価指数、金ETF、原油ETFのみ)
・土日と元日をのぞく毎日24時間取引可能
・マーケットメイク方式で価格決定
・投資家保護あり
店頭CFD・CFDを取り扱い証券会社などの店頭で取引
・取扱銘柄が多い
・取引可能日時は取扱会社により異なる
・取扱会社が提示する価格で取引
・投資家保護が適用されない

公設マーケットで取引される「くりっく株365」は、「取扱会社が破綻しても投資家が預けている証拠金は原則として全額保護される」などのセーフティネットがあります。

また、くりっく365の価格決定方式である「マーケットメイク方式」とは、複数のマーケットメイカー(金融機関)が売値と買値を提示し、投資家にとって最も有利な価格で取引できる方式です。

店頭CFDですと、価格は取扱会社(証券会社)が提示する金額となります。

くりっく365と店頭CFDの「証拠金額」の違い

店頭CFDと「くりっく株365」では、証拠金率も違います。店頭CFDですと、CFDの種類によって20%や5%と決まっていましたね。

しかしクリック株365の証拠金率は、ずっと同じというわけではありません。対象となる指数の価格変動幅をもとに、東京金融取引所が毎週見直して公表しているからです。

くりっく株365は、通常ですと、20~50倍のレバレッジがきくようになっています(証拠金の額が取引額の2%~5%)。

くりっく株365のレバレッジが、固定されていないのは、株価指数の価格変動幅(ボラティリティ)をもとに「証拠金基準額」が決められるからです。
価格変動が小さいときは証拠金基準額が下がってレバレッジは高くなり、価格変動が大きいときは証拠金基準額が上がってレバレッジは低くなります。

  • 相場変動が大きくなると必要証拠金が増加する⇒最高レバレッジが低下する。
  • 相場変動が小さくなると必要証拠金が減少する。⇒最高レバレッジが上昇する。

まとめ

ここまでCFDの特徴や、株の現物取引との違いなどについて説明しました。

CFDは差金のみを決済する取引のことで、取引所で取引される「くりっく株365」と店頭取引する「店頭CFD」があります。なおFXも広義ではCFDに含まれます。

「証拠金を差し入れることで、手持ち資金よりも大きな額の取引が可能になる」「世界各国の株価指数、原油、金などさまざまな資産に投資ができる」のがCFDの大きな特徴です。

特徴だけみると「さまざまな資産に投資でき、大きく儲(もう)けることができる」と思ってしまいますが、その特徴ゆえ「手持ち資金以上の損をする」可能性も。

後編ではCFDのメリットとデメリット・リスクについて詳しく紹介します。

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